厚生労働省は3月15日、「医療事故の再発防止に向けた提言第13号」を都道府県などに送付し、所管の医療機関への周知を要請した。胃瘻の造設とカテーテル交換時の医療事故防止策として、「胃瘻手帳」を活用した施設間の情報共有など、6項目の提言を行った。
提言は、日本医療安全調査機構の医療事故調査・支援センターがまとめた。今回は胃瘻造設時および胃瘻カテーテル交換時の医療事故をテーマに取り上げた。同センターでは、2015年10月~2020年6月に届出があった院内調査結果報告書1456件のうち、胃瘻造設・カテーテル交換に関連した死亡事例13例を分析。その結果を踏まえた再発防止策として、①術後合併症リスクへの術前の備え、②造設位置とカテーテル逸脱の防止、③出血への対応、④胃瘻カテーテル交換の手技、⑤胃瘻造設・カテーテル交換における注入時の観察と対応、⑥地域連携体制の整備―の実施を求めた。
①では、抗血栓薬の投与や低栄養状態が、胃瘻造設術におけるリスクになることを示して注意を喚起。造設を依頼した医師と造設を担当する医師が連携してリスクを共有する必要性を訴えるとともに、抗血栓薬を休薬しない判断をした場合には、出血への備えとして長時間の圧迫や出血点の確認に注意するといった、対応策を検討するよう促した。
⑤では初回注入以降に発熱、腹痛、嘔吐、顔面蒼白、呼吸促迫、苦痛様顔貌などの症状が出た場合は、腹膜炎を疑って対応するよう指導。⑥では胃瘻を造設した患者の管理を2つ以上の施設で行うケースが多い実態を踏まえ、平常時から胃瘻手帳などの情報共有ツールを活用して、必要な情報を施設間で共有することを推奨した。