国土の広い米国では、地域により脳卒中再発率に大きなばらつきがある。この原因を探ったところ、古典的リスク因子とは異なるいくつかの要因が見つかった。3月17日からオンライン開催された国際脳卒中学会(ISC)にて、Erica C Leifheit氏(イエール大学、米国)が報告した。
同氏らが解析対象としたのは、米国の高齢者向け公的保健メディケアを受給している65歳以上住民である。2001-04年、05-08年、09-12年、13-16年の4期間に分け、脳卒中発症後1年間の再発率を調べた。その上で全米各地の「郡」(county)を、期間ごとの再発率5分位数で「最多」に分類された回数(0~4回)を基準として5つの地域に分けた(最多となった回数0回:再発低リスク地域~4回:再発高リスク地域)。
その上でこれら5地域の住民背景因子を比較すると、年齢、性別や人種分布に大きな差はなく、貧困者向け公的保険(メディケイド)二重受給者の占める割合も各地域間に大きな差はなかった。さらに興味深いことに、高血圧や糖尿病、腎不全、慢性心不全の合併率も5地域間で同様だった。
そこで次に、「地域特性」をいくつかの指標で比較してみた。すると「社会経済的背景」と「医療への易アクセス度」、「健康的行動」、「生活環境」の4因子の組み合わせで、脳卒中再発リスク差の多くが説明できることが明らかになった(C統計量=0.84)。これらのうち「医療への易アクセス度」は、人口あたりの「プライマリ・ケア医の数」、「歯科医の数」、マンモグラフィー実施やHbA1c検索実施で評価した「定期チェックの頻度」で評価されている。これらが多いほど再発リスクは少ない。また人口あたりの「レクリエーション施設数/フィットネス施設数」も多いほうが、再発リスクは低くなっていた。
Leifheit氏は、脳卒中再発減少を目指すのであれば、これらの要因も改善が必要ではないかと考察していた。
本研究は米国国立衛生研究所内、加齢研究所(NIA)と米国心臓協会(AHA)から資金を受けて実施された。Leifheit氏に開示すべき利益相反はない。