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植物アレルギー[私の治療]

No.5060 (2021年04月17日発行) P.43

原田 晋 (はらだ皮膚科クリニック院長)

登録日: 2021-04-17

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  • 植物アレルギーにより生じる症状は,①即時型アレルギー症状,②遅延型アレルギー症状,に大別される。

    ▶診断のポイント

    【即時型アレルギー】

    植物による即時型アレルギーの代表的疾患は,いわゆる「花粉アレルギー」である。一般的な花粉アレルゲンとしてはスギやヒノキが挙げられるが,それ以外にも春季にはハンノキ,シラカンバ,オオバヤシャブシなど,夏季にはカモガヤ,オオアワガエリなどのイネ科花粉,秋季にはヨモギ,ブタクサなどのキク科花粉に対する感作によりアレルギー症状が誘発され,真冬の一時期以外にはいずれの季節にも花粉アレルギーは生じうる。臨床症状は通常鼻炎や結膜炎症状をきたすが,時には眼瞼などを中心に接触蕁麻疹を繰り返すことにより皮膚炎症状を発症する場合もある。

    【遅延型アレルギー】

    植物に対する遅延型アレルギーによる代表的な症状は接触皮膚炎である。よく知られた感作源となる植物アレルゲンとしては,①ウルシ,ハゼノキなどのウルシオール,②マンゴーのマンゴール,③ギンナン,イチョウのギンゴール酸,ビロボール,④サクラソウのプリミン,⑤キク科植物(キク,マーガレット,ヒマワリなど)のセスキテルペンラクトン類などが挙げられる1)

    ただし,植物により発生した接触皮膚炎がすべてアレルギーの機序に基づく訳ではない。一例を挙げると,イラクサ科植物の茎や葉には多数の刺毛が密生しており,その中にヒスタミンやアセチルコリンなどの化学伝達物質が含まれているため,接触によって刺激性接触皮膚炎を起こしうる。そのため,植物による接触皮膚炎を発症した場合には,その反応がアレルギー性なのか,刺激性なのかに関して正確な診断を行う必要がある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    【即時型アレルギー】

    即時型アレルギーによる花粉症に対しては,まず内服薬の処方を考慮する。花粉アレルギーに対して適応を有する内服薬には,①第2世代抗ヒスタミン薬,②ケミカルメディエーター遊離抑制薬,③抗ロイコトリエン薬,④Th2サイトカイン阻害薬,⑤抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬,などがあるが,このうち第2世代抗ヒスタミン薬が第一選択薬となる。また鼻閉症状が強い場合には,抗ロイコトリエン薬の併用を考慮する。その他,主たる症状が鼻炎,結膜炎,皮膚炎のいずれであるかに応じて,点鼻薬,点眼薬,外用薬を併用する。

    またスギ花粉アレルギーの場合に限られるが,症状が重篤な場合には,舌下免疫療法も適応となる。舌下免疫療法とは,スギ花粉から抽出した抗原薬〔シダトレン®(標準化スギ花粉エキス)〕を舌下に1~2分間保持した後に飲み込む操作を1日1回継続することによって,脱感作を誘導する治療法である。しかし,治療効果が認められるまでに通常数年を要するとの問題点も存在している。

    【遅延型アレルギー】

    遅延型アレルギーによる接触皮膚炎の場合には,まずステロイド外用薬を処方する。比較的重篤な皮疹をきたす場合が多いため,顔面などの特定の部位を除いて,strongestまたはvery strongに属する強いランクのステロイド外用薬の使用が推奨される。さらに,かゆみが非常に強く無意識で搔破して皮疹の悪化をきたす場合が多いため,抗ヒスタミン内服薬も併用する。また,特にウルシによる接触皮膚炎などの際にはとりわけ炎症反応が強いため,ステロイド外用薬のみならず,短期間のステロイド内服薬の併用も考慮に値する。

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