救急領域で問題となる皮膚軟部組織感染症は,感染後,急速に進行する致死的な壊死性筋膜炎やガス壊疽,激症型連鎖球菌感染症を指すことが多い。一方,toxic shock syndrome(TSS)やtoxic shock-like syndrome(TSLS)では,皮膚感染病変は目立たないが,毒力が高く,わずかな菌量で発熱とショックを引き起こす感染症も念頭に置く必要がある。救命には,迅速な抗菌薬全身投与と感染源の除去が必須である。加えて,破傷風(「破傷風」の稿参照)や狂犬病(「狂犬病」の稿参照)のように,免疫療法が必須のものがあり,早期に鑑別する。
①感染機会となりうるイベント:外傷,動物咬傷(「動物咬傷・動物刺傷」の稿参照)の有無,処置の方法
②免疫:糖尿病や肝硬変,がんなどの基礎疾患を持つ易感染宿主,妊娠中や産後(免疫寛容が起こる)かの確認,消化管手術の既往,破傷風予防接種の有無
③魚介類の摂取の有無
ショックを伴う発熱,意識障害は重症のサインである。
感染早期は感染部位が明らかでないものも少なからずある。①疼痛に加え,しびれに注意する,②意識障害が先行すると,訴えがないことがあるため,特に四肢などを触診し皮膚の感触(柔らかさ,握雪感)を確認する,③発赤や水疱は有力な感染徴候であるが,早期では水疱がないものがある。
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