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アナフィラキシー[私の治療]

No.5062 (2021年05月01日発行) P.95

船曵知弘 (済生会横浜市東部病院救命救急センターセンター長)

登録日: 2021-05-04

最終更新日: 2021-04-30

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  • アナフィラキシーは急性に発症する病態でありで,治療介入の遅延が生命の危機につながるため,早期診断・早期治療が重要である。

    ▶病歴聴取のポイント

    現病歴で,推定される原因物質,曝露や症状発現からの時間経過,食事や運動との関係を明確にする。アナフィラキシーの既往がある場合は原因物質が特定されていることがあり,その場合は患者本人が自覚しているため,診断に至りやすい。
    時に十分な病歴聴取ができない状態でも,下記バイタルサインや身体診察から診断し,重症であれば,即座に治療を開始する。
    喘息や心疾患,高血圧の既往歴,β遮断薬などの内服薬,アレルギーの有無の聴取も診断・治療への重要なポイントになる。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    【バイタル】

    血圧の低下や酸素飽和度の低下は重症と判断するのに重要な値であるが,正確な値を測定するために治療開始が遅延することがあってはならない。血圧が測定しにくくて何度も測り直している間に,治療開始が遅延しないようにする。橈骨動脈で脈拍が触知不良であれば,その時点でショックと判断して,治療を開始することも重要である。
    不穏状態も血圧低下や低酸素血症を示唆する重要な所見である。

    【身体診察】

    脱衣を行い,全身紅潮・蕁麻疹の有無を確認する。粘膜(舌や口唇)の腫脹,声門浮腫による嗄声,聴診での喘息発作出現があれば,窒息につながる可能性があるため,要注意である。
    全身紅潮は,必ずしも出現するとは限らないので,全身紅潮がないからといってアナフィラキシーを否定することはできないことに注意する。

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