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【一週一話】脳血管障害におけるハイブリッド治療医の必要性

No.4721 (2014年10月18日発行) P.53

西村 中 (九州大学大学院医学研究院脳神経外科)

飯原弘二 (九州大学大学院医学研究院脳神経外科 *教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2021-01-05

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  • 近年,外科手術において,治療法の進歩や手術デバイスの発展に伴い,より安全な治療を行うことを目的に低侵襲治療が広く行われるようになった。高度な技術を要する脳神経外科領域においても治療法の多様化とともに,低侵襲治療が急速に発展し,普及しつつある。その中でもわが国第3位の死亡率を有し,重度の後遺症・寝たきりの原因となりうる脳血管障害においては,患者のQOLの上昇や医療経済的な観点からも低侵襲治療の必要性が増しているものと思われる。

    低侵襲治療を求める時代の趨勢の中で,脳血管障害の領域では「ハイブリッド」をキーワードとして,①ハイブリッド治療,②ハイブリッド手術室,③ハイブリッド治療医の3つの要素について,その必要性が論じられている。ハイブリッドとは「2つ以上の異なったものを組み合わせる」ことを意味するが,脳血管障害においては,手術顕微鏡による直達手術と脳血管内治療の組み合わせが主な論点となっている。

    その理由として,元来わが国において脳血管障害に対する外科治療の主役であった直達手術に加えて,デバイスの進歩に伴い,近年急速に発展した血管内治療の台頭により,脳血管障害の治療が多様化していることが挙げられる。以前は,治療成績に関しても直達手術 vs. 血管内治療で語られることが多かったが,それぞれに利点・欠点があることから,近年は患者に応じたテーラーメード治療が必要とされている。また,どちらかの治療のみでは根治できない複雑な病変に対し,双方の組み合わせが必要となる状況が存在する。

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