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【一週一話】ノロウイルス感染症の新たな検査法

No.4730 (2014年12月20日発行) P.47

細田智弘 (順天堂大学医学部総合診療科)

内藤俊夫 (順天堂大学医学部総合診療科 先任准教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-15

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  • ノロウイルス(Norovirus)感染症は冬場を中心に広がり,飲食店での食中毒や,病院・幼稚園などでの集団発生を引き起こす。細菌などによるほかの腸管感染症とは異なり,ノロウイルス感染症はごく少数の病原体の経口摂取で発症しうる。感染力は非常に強いが,一般的には重篤化することは稀であり,特異的な治療法もなく自然治癒する感染症であるため,外来での確定診断の意義は乏しい。

    しかし,高齢者や免疫不全者では時に重篤な経過をたどること,便中への排泄期間が長期化することから,特に病院や介護施設内における二次感染予防を目的とした,正確で迅速な検査方法の確立が望まれている。

    現在,保険収載されているノロウイルスの検査法は,EIA法の原理を用いたイムノクロマト法であり,複数のメーカーから検査キットが市販されている。患者の便検体を用いて15分程度で結果が判明するものが多く,迅速性には優れている。本法の感度は製品や検査対象とした集団によって差はあるが,下記のRT-PCR法に対して30~60%との報告が多く,感染予防を目的としたスクリーニング検査としては十分とは言いがたい。一方,RT-PCR法は,ごく少数のウイルスであっても核酸増幅により検出することが可能で,良好な感度を示すが,保険収載はされていない。また,手法が煩雑であることから限られた施設のみで実施が可能な検査であるため,日常臨床で用いることは難しい。

    最近ではRT-PCR法と同様の原理を用いて,検査工程の大部分を自動化した装置とリアルタイムRT-PCRキットの開発が進んでいる。工程の自動化により手法の煩雑性を除くことで,結果判定も自動化されるため,試験者の修練不足などによる人為的なエラーを減らすことが期待されている。さらに装置自体がコンパクトであることから,設置が容易である。このため,一般の医療機関での設置,検査が可能である。

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