日本医療機能評価機構は7月15日、「医療安全情報No.176」を公表した。人工呼吸器の回線が外れた、または緩んでいたために患者に影響があった事例の詳細と、事例発生施設における再発防止策を紹介し、注意を喚起した。
機構によると、2017年1月1日から21年5月31日のおよそ4年半の間に、こうした事例が39件報告されている。最も多かったのが、気管切開チューブと呼吸回路の接続外れに起因する事例で、19件あった。
医療安全情報に掲載された事例の詳細を見ると、ある施設では、看護師が勤務開始時に人工呼吸器の回路の接続部に緩みがないかを手で触れて確認することがルール化されていたにもかかわらず、事例発生当日はナースコールへの対応に追われ、目視での確認しか行わなかった。その後、「経皮的動脈血酸素飽和度」(SpO2)の低下を知らせるアラームが鳴ったため看護師が訪室すると、患者の顔面は蒼白でSpO2は50%台に低下し、気管切開チューブと回路の接続が外れていた。
もう1件の事例では、患者のSpO2が80%台後半に低下し、分時換気量低下のアラームが鳴っていたため、看護師が気管吸引を実施したがSpO2が回復しなかった。そこでリーダー看護師が回路を確認し、回路と加温加湿器の接続が外れていることに気づいた。
これらの施設では、再発防止の取り組みとして、人工呼吸器の「分時換気量低下」、「低換気」、「下限圧」のアラームが鳴ったときは、患者の胸郭の動きと回路の接続部を確認する取り組みが行われているという。ただ、機構は、これらは一例にすぎないとして、自施設に合った対策を検討するよう呼びかけている。