日本人約7万5000人(45~74歳)を対象に生活習慣とがん・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を約15年間追跡調査した国立がん研究センターの多目的コホート研究(JPHC研究)班(研究代表者:津金昌一郎国立がん研究センター社会と健康研究センター長)は9月9日、「ピーナッツ摂取量が多いほど、脳卒中、脳梗塞、循環器疾患の発症リスクの低下がみられる」との研究成果を「Stroke」誌で論文発表した。
ピーナッツは、不飽和脂肪酸、ミネラル、ビタミン、食物繊維などを多く含み、欧米諸国の先行研究では、ピーナッツ摂取が循環器疾患の予防に有効であることが報告されているが、日本人はピーナッツ摂取が欧米に比べ少ないこともあり、循環器疾患との関連が明らかにされていなかった。
JPHC研究班は、食事アンケート調査のピーナッツ・落花生の摂取状況から1日当たりの摂取量を算出し、4つのグループに分け、その後の脳卒中(脳出血、脳梗塞)、虚血性心疾患発症との関連を調査。
追跡期間中に3599人が脳卒中を、849人が虚血性心疾患を発症したが、分析した結果、ピーナッツ摂取量が最も少ないグループに比べ最も多いグループは、脳卒中で16%、脳梗塞で20%、循環器疾患で13%発症リスクが低下することが確認された。ピーナッツ摂取量と脳出血、虚血性心疾患との関連はみられなかった。
研究班によると、ピーナッツ摂取量と循環器疾患発症リスクの関するアジアからの報告はJPHC研究が初めてという。
【関連情報】