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急性骨髄性白血病(AML)[私の治療]

No.5087 (2021年10月23日発行) P.43

清井 仁 (名古屋大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学教授)

登録日: 2021-10-25

最終更新日: 2021-10-19

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  • 急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)は,分化・成熟能が障害された幼若骨髄系細胞のクローナルな自律性増殖を特徴とする血液腫瘍である。骨髄におけるAML細胞の異常増殖の結果,正常造血能が阻害されることに起因する様々な症状を呈する。

    ▶診断のポイント

    骨髄有核細胞中に20%以上(WHO分類)の白血病細胞(芽球)を認め,芽球が骨髄系細胞形質であることを細胞化学的検査や表面抗原発現などによって診断する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    初発AMLに対しては,多剤併用化学療法が基本となるが,その適応は,化学療法による臓器毒性などの副作用に耐えられるかを年齢,臓器機能,全身状態,併存する疾患の状態などに基づいて,慎重かつ厳密に判断しなければならない。
    現在,多くの予後層別化因子が明らかにされているが,染色体核型に基づく層別化は治療薬の選択や同種造血幹細胞移植の適応に重要であるため,診断時の染色体検査は必須である。また,現在保険適用にはなっていないが,WHO分類における病型診断や予後予測においては遺伝子変異の同定も重要である。

    AMLに対する化学療法は,寛解導入療法と寛解が得られた後に行う寛解後療法からなる。未治療若年者(65歳未満)に対する標準的寛解導入療法は,キロサイド®(シタラビン)とイダマイシン®(イダルビシン塩酸塩)またはダウノマイシン®(ダウノルビシン塩酸塩)との併用療法である。RARA遺伝子転座を特徴とする急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia:APL)に対しては,ビタミンA誘導体であるベサノイド®(トレチノイン)を中心とした治療が適応となるため,染色体分染法やFISH(fluorescent in situ hybridization)法による染色体核型検査やPCR法による融合遺伝子検索によってRARA遺伝子転座の存在を鑑別する必要がある。

    寛解後療法では,キロサイド®とアントラサイクリン系薬剤〔ノバントロン®(ミトキサントロン塩酸塩),ダウノマイシン®,アクラシノン®(アクラルビシン塩酸塩),ベプシド®(エトポシド),オンコビン®(ビンクリスチン硫酸塩),フィルデシン®(ビンデシン硫酸塩)〕などとの組み合わせによる4コースの地固め療法が主として用いられる。t(8;21)(q22;q22);RUNX1-RUNX1T1もしくはinv(16)(p13.1q22)/t(16;16)(p13.1;q22);CBFB-MYH11を有するAML〔CBF(core-binding factor)-AMLと呼ばれる〕に対しては,キロサイド®大量療法3コースの地固め療法が選択される。

    第一寛解期での同種造血幹細胞移植療法は,染色体核型などの予後因子に基づき,予後良好群以外の症例に対して適応となる。

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