中央社会保険医療協議会総会は11月17日、不妊治療の保険適用をテーマに議論した。不妊治療の生殖補助医療(体外受精、顕微授精)では、保険給付の対象技術、年齢や実施回数に関する要件、施設基準などについて、学会のガイドラインや自治体による助成事業の基準を参考に検討を進める方向で、各側の意見が概ね一致した。
不妊治療は、一般不妊治療(タイミング法、人工授精)と生殖補助医療(ART)に大別される。ARTについては、現在、自治体による治療費の助成(特定治療支援事業)が行われている。保険適用に向けた検討では、①保険適用の対象となる医療技術等の範囲、②年齢・回数などの要件や施設基準、③着床前診断の取扱い、④第三者の卵子または精子を用いた生殖補助医療等の取扱い―が主な論点となっている。
①では、日本生殖医学会がARTに用いられる主な医療技術について、エビデンスに基づく推奨度を「生殖医療ガイドライン(GL)」の中で明らかにしている。この日の議論では、多くの委員が、当該GLで推奨度A、B(実施を強く推奨または、実施を推奨)とされている医療技術を中心に保険適用の範囲を検討していくべきだとの認識を示した。
②の年齢、回数などの要件や施設基準の設定についても、生殖医療GLや特定治療支援事業の補助基準を参考に検討を進めていくべきだとの意見が大勢を占めた。特定治療支援事業では、女性側の対象年齢と回数を、▶40歳未満の場合は通算6回まで、▶40歳以上43歳未満は通算3回まで―と定めている。また、既存の研究では、ARTを経て分娩したケースの約90%は、6回までの治療で妊娠・出産に至っていることが明らかになっている。
③④については倫理面や民法上の課題もあることから、現時点で保険を適用するのは時期尚早との指摘が相次いだ。