成人における鼻涙管閉塞の原因は不明なもの(原発性)が多いが,顔面外傷,感染,アレルギー等の非感染性炎症,副鼻腔疾患,腫瘍,レバミピド点眼などに続発して起こる場合(続発性)もあり,適切な問診聴取が重要である。閉塞近位側に涙液や涙道内分泌物が貯留し,そこに細菌感染を生じると涙囊炎を発症する。病態としては急性涙囊炎と慢性涙囊炎にわけられ,急性涙囊炎の場合は感染のコントロールが優先される。閉塞に対する治療としては,涙道内視鏡を使用した涙道再建術や涙囊鼻腔吻合術が選択される。
流涙,眼脂を主症状とし,涙管通水検査にて通過がなく,排膿を認める場合が多い。ただし涙囊内の貯留物により涙囊内圧が高まっていると,総涙小管付近で涙囊に圧排され,チェックバルブとなり,膿の逆流が認められないことがある。この場合,通水を継続すれば,涙囊内圧の上昇に伴い破裂を引き起こすリスクがあるため,必ず涙囊を触診し,涙囊が拡張しているにもかかわらず軽い圧迫にて排膿を認めない場合は通水を控えたほうがよい。ほかに涙道造影CTや涙道内視鏡検査,鼻内視鏡検査を併用し,続発性鼻涙管閉塞の鑑別や治療方針の決定を行う。
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