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外来での倫理事例─意思決定支援〜ラベリングのためではない,支援するために評価する[プライマリ・ケアの理論と実践(130)]

No.5102 (2022年02月05日発行) P.14

宮坂晋太郎 (鉄蕉会亀田森の里病院地域連携室室長)

登録日: 2022-02-03

最終更新日: 2022-02-02

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SUMMARY
意思決定能力の評価は患者の自律性と安全性のバランスを適切にとるべく行われる。意思決定能力の低下をいち早く察知し,4つの能力を意識しながら評価を行うことが,患者やその家族にとって不利益な選択を回避する助けとなる。

KEYWORD
意思決定能力を構成する4つの能力
理解,選択の表明,状況の認識,論理的思考。


宮坂晋太郎(鉄蕉会亀田森の里病院地域連携室室長)

PROFILE
東海大学医学部を卒業後,同付属病院の総合内科に所属しプライマリ・ケアや集中治療などを学ぶ。その後,2015年より開始された同科の家庭医療専門医プログラムの1期生としてこれを修了。神奈川県厚木市にある有床病院で後期研修医の指導にあたる。日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医・指導医,日本内科学会内科専門医。

POLICY・座右の銘
無法を以って有法と為し,無限を以って有限と為す

1 外来における意思決定能力の評価について

意思決定を行う能力を有しているかどうかを判断することは,「患者の自律性を尊重すること」と,「認知機能に障害を持つ患者を不利益から保護すること」との間に適切なバランスをとる上で重要である。それにもかかわらず医師が最適なタイミング,最適な基準で意思決定能力を評価できていないケースは多い。一般的に外来患者は入院患者と比較して心身ともに健常であり意思決定能力も保持されていることが多いが,それゆえに患者の能力不足を見過ごしてしまうリスクには留意すべきと考えられる。患者の意思決定能力に問題があることをいち早く察知することができれば,欠如した能力を選択的に補完することで意思決定支援を行うことも可能である。

本稿では患者の意思決定能力を評価すべきタイミングおよびその方法について,実例を交えて紹介する。







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