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夜驚症[私の治療]

No.5104 (2022年02月19日発行) P.46

小野真由美 (青梅市立総合病院小児科医長)

登録日: 2022-02-22

最終更新日: 2022-02-15

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  • 睡眠時驚愕症のことである。「睡眠障害国際分類 第3版(ICSD-3)」において睡眠時随伴症に分類される。「ノンレム睡眠期からの覚醒障害」であり,脳が寝ている状態にもかかわらず,様々な異常行動を起こす疾患である。同じカテゴリーに睡眠時遊行症がある。

    通常は睡眠時間帯の最初の1/3の徐波睡眠期に起こる。脳は寝ている状態だが,脳の一部が覚醒しているため開眼しており,突然の恐怖が特徴で,叫び声を発し,瞳孔散大,頻拍・頻呼吸,発汗などの自律神経覚醒の徴候を呈する。症状自体は15分以内(長くても30分以内)でおさまることが多い。夜だけでなく昼でも症状は起こる。

    睡眠時遊行症も同様に,睡眠時間の最初の1/3の徐波睡眠期に起こる。寝ている状態だが開眼しており,ゆっくりとした動作で行動し,基本的には危険な行動はとらないことが多いとともに,覚醒してもそのエピソードを想起することができない。開眼はしているが,刺激を加えることによって見当識障害を起こす場合もあるので,刺激せずにおさまるのを待つ。
    いずれも家族集積性があり,患者の40~60%に家族歴がある。

    ▶診断のポイント

    夜泣きとは異なる。発症年齢は4~12歳の小児で,症状は一時的に頻度が高くても数カ月~1年程度で落ちつき,青年期のはじめまでに自然消失する傾向がある。症状が持続する場合,夜間前頭葉てんかんを鑑別する必要があり,その場合は睡眠時脳波を測定する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    年齢とともに症状は改善するため,投薬より,疾病や経過について説明し,患児と家族を見守ること,そして安全に対応できるようアドバイスすることが大事である。しかし,頻度が高く,家族の生活にも影響を与える場合は投薬も検討される。

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