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心不全の薬物治療─拡張機能障害HFpEFを中心として[J-CLEAR通信(138)]

No.5105 (2022年02月26日発行) P.36

中村牧子 (富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二)

絹川弘一郎 (富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二教授)

登録日: 2022-02-28

最終更新日: 2022-02-24

HFpEF(heart failure with preserved ejection fraction)とは,左室駆出率(left ventricular ejection fraction:LVEF)が正常もしくは保持されているものの,左室拡張機能障害を有する心不全である。日米欧のガイドラインではLVEFが50%以上を基準値として用いており1)2),HFpEFは心不全患者の約半数を占めている。

HFpEFに対し生命予後の改善を示した薬物療法は2021年5月時点でいまだ明らかではなく,うっ血症状に対する利尿薬と,併存症に対する治療のみが,ガイドラインで推奨される薬物治療となっている1)2)。一方HFpEFと強く関連のある背景因子として,高齢,高血圧,心房細動,腎機能障害,糖尿病,肥満などがあるが,近年HFpEFにもphenotypeがあり,予後や治療薬への反応性の差異が報告されている3)。今後HFpEFの層別化と,phenogroupに応じた至適薬物療法が明らかになる可能性がある。

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