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不安の強いうつ病に対する治療 【まずは通常のうつ病治療が妥当で,SSRI,SNRIを第一選択薬とする】

No.4821 (2016年09月17日発行) P.64

朝倉 聡 (北海道大学保健センター・大学院医学研究科 精神医学分野准教授)

大坪天平 (JCHO東京新宿メディカルセンター精神科主任部長)

登録日: 2016-09-21

最終更新日: 2016-10-06

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  • うつ病に不安症の併存が多いことが指摘されており,精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders 5th edition:DSM-5)におけるうつ病の診断では,「不安性の苦痛を伴う」ものを特定することになりました。不安の強いうつ病に対する治療的対応について,JCHO東京新宿メディカルセンター・大坪天平先生にご教示頂ければ幸いです。

    【質問者】

    朝倉 聡 北海道大学保健センター・大学院医学研究科 精神医学分野准教授



    【回答】

    ご指摘の通り,うつ病には高率で不安症が併存し,さらに多くの場合,うつ病の抑うつ症状には同時に不安症状がみられます。DSM-5において,特定用語として「不安性の苦痛を伴う」が新たに設けられた理由は,強い不安があると,より高い自殺の危険性,より長い罹病期間,および治療抵抗性につながるというエビデンスから,不安性の苦痛の存在と重症度を正確に特定することが,治療計画を立てる上で重要との判断からでした。

    不安性の苦痛を伴ううつ病の治療に関して確立したものがあるとは言えませんが,いくつかのうつ病治療ガイドラインにおいて,「不安症状を併発しているうつ病においても,通常のうつ病と同様の治療を行い,抑うつ症状と不安症状はともに抗うつ薬による薬物療法によく反応する」とあるので,まずは通常のうつ病治療をするのが妥当と考えられます。

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