出生後,肺血管抵抗が高い状態が持続することで,卵円孔,動脈管において右左短絡が生じる。血行動態としては胎児循環と同じ状態となり,通常の呼吸循環サポートでは改善せず,高度のチアノーゼを呈する。発生頻度(在胎34週以降,先天性心疾患は除く)は0.18%とされている。
ほとんどは正期産からlate preterm児にみられ,重症新生児仮死,胎便吸引症候群に合併することが多い。その他,肺が未熟な超早産児や,肺低形成を呈する疾患(先天性横隔膜ヘルニアなど),GBS感染症などにも合併することがある。高度のチアノーゼのため,高濃度酸素が必要となり,心エコーにて肺高血圧の所見(高度の三尖弁逆流,卵円孔や動脈管での右左短絡など)を認めることで診断される。類似の状態を呈する疾患として,総肺静脈還流異常症等の先天性心疾患があり,治療法がまったく異なることから,最初の心エコーで特に意識して鑑別を行う。
既に状況的に人工呼吸管理は行われているはずで,肺高血圧が判明したら,SpO2モニターは上下肢に装着し,動脈管レベルでの右左短絡を可視化する(下肢SpO2が10%以上低い)。原疾患に対する治療に加え,肺血管抵抗を下げるための対応,肺血管抵抗を上げないための対応,体血圧の維持を行う。動脈ライン,中心静脈ラインは十分鎮静した上で確保する。その他,極力刺激を避けるよう,ケアや処置は慎重に行う。
残り1,152文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する