慢性骨髄性白血病(CML)は,造血幹細胞レベルの未分化な細胞に9番染色体と22番染色体に転座t(9;22)(q34;q11)が起こることで発症する。この転座により派生22番染色体(フィラデルフィア染色体)上に形成される恒常的活性型チロシンキナーゼBCR-ABL遺伝子が病因遺伝子である。チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が臨床応用されており,慢性期CMLの多くの患者は平均余命をまっとうできる。また,非常に深い寛解を達成し,1~2年以上維持した患者の一部ではTKI中止後も寛解が維持されることが臨床試験において示されている。一方,慢性期CMLを放置あるいは治療効果が十分でないと,4~6年間の慢性期の後に,移行期,急性転化期へと病期が進行し,きわめて予後不良となる。
慢性期CMLでは,末梢血中に様々な分化段階の幼若白血球の出現を伴う,数万~数十万に及ぶ白血球増加が認められる。白血球数増加という点で,菌血症などの重症感染症や類白血病反応などが鑑別疾患に挙げられる。脾腫を伴っており,造血器腫瘍の中では骨髄増殖性腫瘍を鑑別する必要がある。
染色体分析(Gバンド法,FISH法)によりt(9:22)を検出するか,RQ-PCR法でBCR-ABL mRNAを検出することで確定診断される。急性転化すると,急性白血病と同様に未分化な芽球のみが骨髄,末梢血で増殖する。
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