株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

特集:チェーン・ストークス呼吸から見る心不全

No.5111 (2022年04月09日発行) P.18

佐田 誠 (国立循環器病研究センター呼吸器・感染症診療部医長)

登録日: 2022-04-08

最終更新日: 2022-04-05

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

1989年山形大学医学部卒業。国立循環器病研究センター 呼吸器・感染症診療部医長・感染対策室室長。循環器領域に精通する呼吸器専門医,睡眠専門医,感染管理医をめざす。乗馬4級。座右の銘は「Que Sera, Sera」。

1 チェーン・ストークス呼吸(CSR)とは?
・チェーン・ストークス呼吸(CSR)は,中枢性睡眠時無呼吸低呼吸に伴う呼吸パターンである。
・CSRの判定基準(以下の2項目を満たすこと)
 ①3回以上連続する中枢性無呼吸や中枢性低呼吸が,呼吸振幅の漸増・漸減変化により区分され,その周期が40秒以上
 ②2時間以上のモニター記録で,睡眠1時間当たり5回以上の中枢性無呼吸や中枢性低呼吸が呼吸振幅の漸増・漸減変化を伴う
・CSRは,心不全患者の予後予測因子である。
・CSRの病態学的意義は,まだよくわかっていない。

2 チェーン・ストークス呼吸(CSR)はどうやって見つける?
・CSRではいびきは認められず,日中眠気の訴えもほとんどない。
・臨床症状からCSRを疑うことは難しい。
・診断のためには,睡眠検査での客観的な評価が欠かせない。
・典型的なCSRであれば,パルスオキシメーターでも検出可能である。

3 チェーン・ストークス呼吸(CSR)の波形から心不全を考える
・CSRの波形は多彩である。
・CSRには2つの異なる特徴的な呼吸波形パターン(positive pattern,negative pattern)がある。
・心機能が悪いほどnegative patternの呼吸波形パターンを示す傾向がある。
・CSRのnegative patternは,左室駆出率(LVEF)が低下した心不全(HFrEF)の心機能維持のための代償機転である可能性が指摘されている。

4 日中覚醒時のチェーン・ストークス呼吸(CSR)
・CSRは日中覚醒時や立位でも発生する。
・「日中の10%以上のCSR」および「立位CSR」は独立した予後規定因子である。
・心不全,特に重症心不全患者に対しては,夜間の睡眠検査だけでなく,日中の呼吸状態の評価も必要である。

5 チェーン・ストークス呼吸(CSR)に対する陽圧呼吸療法の現状
・中枢性優位の睡眠時無呼吸を伴う,LVEF 45%以下の慢性心不全患者を対象としたASV(adaptive servo-ventilation)群 vs. control群のランダム化比較試験(SERVE-HF試験)では,ASV群で心血管死亡リスクを34%相対的に増加させた。
・日本循環器学会および日本心不全学会が公表しているステートメントでは,SERVE-HF試験の被験者と同じ状態の患者へのASVの導入・継続は禁忌ではないものの,慎重な姿勢をとるとともに,できる限り持続陽圧呼吸(CPAP)療法の使用を求めている。
・CSR自体を標的とした治療のアルゴリズム確立に向けて,現在も国際的な議論が重ねられている。

プレミアム会員向けコンテンツです(最新の記事のみ無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top