起立性調節障害(orthostatic dysregulation:OD)は,自律神経系が起立時等の血圧・血流をうまく調節できないことにより,立ちくらみ,めまい,吐き気,頭痛,倦怠感などを生じる疾患で,症状は午前中に強く,午後に軽減することが多い。小学校高学年から増加し,中・高校生で頻度が高い。
下記の身体症状項目があり,3つ以上あてはまるか,2つであってもODが強く疑われる場合は,器質的な基礎疾患の除外の後,ODとして診療する。いずれも症状のみの項目であるため,類似した症状を起こす基礎疾患の除外が必須である。
①立ちくらみ,あるいはめまいを起こしやすい,②立っていると気分が悪くなる,ひどくなると倒れる,③入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる,④少し動くと動悸あるいは息切れがする,⑤朝なかなか起きられず午前中調子が悪い,⑥顔色が青白い,⑦食欲不振,⑧臍疝痛をときどき訴える,⑨倦怠あるいは疲れやすい,⑩頭痛,⑪乗り物に酔いやすい。
鑑別のための検査として血液検査(血算,一般生化学検査,甲状腺機能など),検尿,便潜血,心電図,胸部X線,心エコーなどを実施する。失神の症例では脳波,ホルター心電図も必要に応じて実施する。
新起立試験1)を行い,起立直後性低血圧,体位性頻脈症候群,血管迷走神経性失神,遷延性起立性低血圧のサブタイプと重症度を判定し,それぞれに応じた治療を行う。
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