脊髄腫瘍とは,脊髄やその近傍に存在する神経根,脊髄を取り囲む硬膜,脊椎から発生する腫瘍のことである。発生母地により分類され,脊髄の中に発生する髄内腫瘍,硬膜の中にあり脊髄の外に発生する硬膜内髄外腫瘍,そして硬膜外に発生する硬膜外腫瘍がある。腫瘍の年間発生頻度は米国ロサンゼルス市で年間10万人当たり0.4人との報告があり1),中枢神経系の神経原性腫瘍の5%とされている。
脊髄腫瘍では,局在を同定するため体のどの領域に運動障害や感覚障害,痛みが生じているかを正確に評価することが大切である。症状の特徴は進行が比較的緩徐であり,腫瘍が存在する部位に応じた痛みを感じることもある。確定診断には画像検査(MRI検査)を施行する。
脊髄腫瘍の治療の第一選択は手術である。手術の目的は腫瘍の病理組織診断により今後の治療の指針が決定できること,腫瘍摘出により根治が得られること,または神経症状の改善につながることである。
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