全身のメラノサイトに対する自己免疫反応により発生する病態である。眼には滲出性網膜剝離をきたし,随伴する全身症状も特徴的で,強力なステロイド治療を必要とする。
視力障害が主症状,前駆症状(頭痛,耳鳴り,感冒様症状)や随伴症状(無菌性髄膜炎,感音性難聴,皮膚症状)もきたす。
両眼の後極に滲出性網膜剝離をきたす後極型,視神経乳頭の発赤・腫脹のみの乳頭炎型がある。硝子体混濁や,網膜血管炎,白斑はきたさない。慢性期には夕焼け状眼底となる。光干渉断層計(OCT)では,網膜下には炎症細胞とフィブリン隔壁を伴う滲出性網膜剝離が確認される。脈絡膜の肥厚もきたし,再燃時には先行して肥厚する。フルオレセイン蛍光眼底造影(FA)では,点状多発蛍光漏出と後期の斑状色素貯留を示し,視神経乳頭も過蛍光となる。インドシアニングリーン蛍光眼底造影(IA)では,早期に脈絡膜の充盈遅延や斑状低蛍光,後期に斑状低蛍光,滲出性網膜剝離に一致した脈絡膜血管からの蛍光漏出を認める。
細隙灯顕微鏡では,虹彩炎,豚脂様角膜後面沈着物,浅前房などを認める。時に閉塞隅角緑内障と鑑別が必要で,超音波生体顕微鏡(UBM)や前眼部OCTで毛様体脈絡膜剝離を確認する。
頭痛や感冒様症状などの前駆症状を70%に伴う。眼所見以外に頭痛や髄液の細胞増多など(髄膜炎症状)を90%に認める。耳鳴りや難聴など(聴覚症状),脱毛,白髪,皮膚の白斑(皮膚所見)も起こる。皮膚所見は慢性期の所見である。HLA-DR4抗原,特にHLA-DRB1*0405やHLA-DRB1*0410が高率に検出される。国際診断基準1)では,完全型(complete),不全型(incomplete),疑い症例(probable)がある。
ステロイドパルス治療前に,肝炎ウイルスやヘルペスウイルスなどの感染症,糖尿病,腎機能・肝機能,電解質などを検査する。胸部X線撮影を行い結核などを除外する。
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