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中心性漿液性脈絡網膜症[私の治療]

No.5115 (2022年05月07日発行) P.51

古泉英貴 (琉球大学大学院医学研究科医学専攻眼科学講座教授)

登録日: 2022-05-10

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  • 黄斑部に漿液性の網膜剝離,網膜色素上皮剝離を生じる,中年男性に頻度が高い疾患である。ストレスやステロイド投与などが発症の危険因子とされる。片眼発症が多いが,両眼発症もしばしばみられる。初期症状は変視症,小視症,中心暗点などが代表的である。数週~数カ月で自然治癒することも多いが,寛解と再燃を長期にわたり繰り返すこともある。慢性化すると不可逆的な視力低下や続発性に脈絡膜新生血管を生じ,加齢黄斑変性に移行することがある。

    ▶診断のポイント

    フルオレセイン蛍光眼底造影での網膜色素上皮レベルの蛍光漏出,インドシアニングリーン蛍光眼底造影での脈絡膜流入遅延,脈絡膜大血管拡張,脈絡膜血管透過性亢進所見が診断の根拠となる。光干渉断層計では黄斑部の網膜剝離,網膜色素上皮剝離,脈絡膜大血管拡張を伴う脈絡膜肥厚を認める。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    初発の場合はまず自然治癒を期待し,最長で3カ月程度まで無加療で経過観察を行う。膠原病などの全身疾患のためにステロイド投与中の症例では,休薬または減量の可否につき,かかりつけ医にコンサルトを行う。3カ月経過しても網膜剝離が残存する場合や,職業上の理由などにより早期の症状改善を希望する場合で,フルオレセイン蛍光眼底造影での蛍光漏出が局所的かつ中心窩から離れている場合に網膜光凝固を検討する。フルオレセイン蛍光眼底造影での蛍光漏出が中心窩を含む場合,または漏出がびまん性の場合は網膜光凝固での対応が困難であるため,光感受性物質〔ビスダイン(ベルテポルフィン)〕と低発熱レーザーを用いた光線力学的療法を行う(ただし,中心性漿液性脈絡網膜症に対しての光線力学的療法は保険診療適用外であることに注意)。初回に網膜光凝固を行った症例においても,再発時は光線力学的療法を選択しているケースが多い。内服薬による加療はエビデンスが乏しいため行っていない。

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