【質問者】
稲谷 大 福井大学医学部眼科学教室教授
【継続的治療を必要とする患者の経済的な負担軽減が期待できる】
加齢黄斑変性,近視性脈絡膜新生血管,網膜静脈閉塞,糖尿病網膜症などによる網膜黄斑部の滲出性変化や,未熟児網膜症,新生血管緑内障に対しては,従来の治療方法では十分な治療効果が得られないことが多かったのですが,VEGF阻害薬の登場によってこれらの疾患に対する治療結果が飛躍的に改善しました。
VEGF阻害薬は経結膜的に硝子体内に注射投与を行います。1回の投与で十分な効果が得られることもありますが,加齢黄斑変性,網膜静脈閉塞,糖尿病網膜症に対しては初期治療として毎月投与を3~6回程度継続することも少なくありません。さらに,初期治療後も網膜の滲出性変化の再発をコントロールするために追加投与を行う必要があることも多いため,患者側の経済的な負担が理由となって,治療を中断せざるをえないことがあります。治療を中断すると黄斑部の滲出性変化が続くため,不可逆的な黄斑変性をきたすことになり,視力の大幅な低下が避けられません。
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