【質問者】
今井陽一 獨協医科大学内科学(血液・腫瘍)講座教授
【FLT3変異の有無で治療法を区別しないものの,初発時白血球増加例ではレジメンに従い,合併症対策も十分に行う】
APLではFLT3-ITD(internal tandem duplication)変異が12〜38%に認められます1)。APLにおけるFLT3-ITD変異の予後への影響に関しては一定した見解が得られていないという意見もありますが,NCCNガイドライン2)ではドイツ3)およびスペイン(PETHEMA)4)の後方視的な解析結果を引用し,FLT3-ITD/wild typeの比が高いFLT3-ITD変異陽性APLは無再発生存率が劣ると解説しています。
またPicharskiらは,ランダム化比較試験24報を対象としたメタアナリシスを行い,FLT3-ITD変異を持つAPL(APL 2381例中645例:27.1%)では,同変異のないAPLと比べて,初発時白血球数10000/μL以上の比率は高く(相対リスク3.29,P<0.001),完全寛解率は低く(相対リスク0.59,P=0.003),全生存率は低い(相対リスク0.59,P<0.001)ことを報告しています5)。
同メタアナリシスでは,FLT3- D835変異,いわゆるFLT3-TKD(tyrosine kinase inhibitor)変異を持つAPL(APL 1104例中175例:15.8%)についても検討が行われ,同変異のないAPLに比べ,初発時白血球数10000/μL以上の比率に有意差はないものの(相対リスク1.48,P=0.056),野生型FLT3のAPLに比べ,完全寛解率は低く(相対リスク0.55,P<0.001),全生存率は低い(相対リスク0.50,P=0.029)ことを報告しています。
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