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FLT3変異を合併した急性前骨髄球性白血病(APL)の治療法について

No.5123 (2022年07月02日発行) P.49

今井陽一 (獨協医科大学内科学(血液・腫瘍)講座教授)

藤田浩之 (済生会横浜市南部病院血液内科診療部長/ 主任部長)

登録日: 2022-06-30

最終更新日: 2022-06-28

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  • all-trans retinoic acid(ATRA)の導入によって,急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia:APL)の治療成績は飛躍的に向上しています。急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)の診断時に検査されることが多いFLT3変異を合併したAPLの治療について,済生会横浜市南部病院・藤田浩之先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    今井陽一 獨協医科大学内科学(血液・腫瘍)講座教授


    【回答】

    【FLT3変異の有無で治療法を区別しないものの,初発時白血球増加例ではレジメンに従い,合併症対策も十分に行う】

    APLではFLT3-ITD(internal tandem duplication)変異が12〜38%に認められます1)。APLにおけるFLT3-ITD変異の予後への影響に関しては一定した見解が得られていないという意見もありますが,NCCNガイドライン2)ではドイツ3)およびスペイン(PETHEMA)4)の後方視的な解析結果を引用し,FLT3-ITD/wild typeの比が高いFLT3-ITD変異陽性APLは無再発生存率が劣ると解説しています。

    またPicharskiらは,ランダム化比較試験24報を対象としたメタアナリシスを行い,FLT3-ITD変異を持つAPL(APL 2381例中645例:27.1%)では,同変異のないAPLと比べて,初発時白血球数10000/μL以上の比率は高く(相対リスク3.29,P<0.001),完全寛解率は低く(相対リスク0.59,P=0.003),全生存率は低い(相対リスク0.59,P<0.001)ことを報告しています5)

    同メタアナリシスでは,FLT3- D835変異,いわゆるFLT3-TKD(tyrosine kinase inhibitor)変異を持つAPL(APL 1104例中175例:15.8%)についても検討が行われ,同変異のないAPLに比べ,初発時白血球数10000/μL以上の比率に有意差はないものの(相対リスク1.48,P=0.056),野生型FLT3のAPLに比べ,完全寛解率は低く(相対リスク0.55,P<0.001),全生存率は低い(相対リスク0.50,P=0.029)ことを報告しています。

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