【質問者】
山城健児 高知大学医学部眼科学講座教授
【眼瞼悪性腫瘍は,睫毛欠損,色素沈着,黄色部の存在などが大切な所見となる】
良性腫瘍では,母斑,乳頭腫,脂漏性角化症などが多く生じます。母斑は,なだらかな隆起と均一な色を持ち,皮膚側のみならず瞼縁や涙点などにも生じ,角化はなく,瞼縁部や結膜のものは,つるっとしています。眼球に接している場合には,眼球のカーブに沿って増殖し,裏返すと眼球と同じ曲率半径のカーブがみられます。乳頭腫は,頭でっかちでモコモコとして可動性があり,基部は茎状を呈します。脂漏性角化症は名の通りに角化を伴い,ゴツゴツとしています。
悪性腫瘍では,「睫毛が欠損していたら悪性腫瘍を疑う」ことが大切です。基底細胞癌(basal cell carcinoma:BCC)と脂腺癌(sebaceous gland carcinoma:SGC)が眼瞼悪性腫瘍の代表です。
BCCは眼瞼の皮膚側に発生し,紫外線の影響を受けやすいので,下眼瞼や内眼角皮膚などの日の当たるところが好発部位です。色素が特徴で,初期のものは母斑に似たドーム様を呈することがありますが,母斑とは異なり,色素はまだらで,周囲への染み出しがみられることがあります。形状としては堤防様増殖や潰瘍が特徴で,進行例では蚕食性潰瘍を呈します。
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