【質問者】
辻野佳世子 兵庫県立がんセンター放射線治療科部長
(1)脳転移巣の個数が増加するにつれて「定位照射単独」の適応は小さくなっていきますが,何個以上で適応外とみなすかは施設によって異なります。定位照射専用装置を治療の中軸に据える施設では10個程度,汎用リニアックを使用する施設では4〜5個が適応の境目と考える場合が多いようです。当施設では原則5個以上は適応外としていますが,特に長期予後が期待できる症例では,それ以上でも定位照射単独でフォローする場合もあります。
(2)高感受性腫瘍,予後不良例,病巣数10個以上,癌性髄膜炎などは,原則的に全脳照射の適応です。少数病巣に対する定位照射との併用という点では,治療の反復を極力避けたい場合には,積極的に全脳照射を併用します。多発症例で病巣サイズにばらつきがある場合,全脳照射施行後に,大きい病変を選んで定位照射を行うこともあります。全脳照射の併用の意義は,回転型強度変調放射線治療(volumetric modulated arc therapy:VMAT)による標的体積内同時ブースト(simultaneous integrated boost:SIB),IMRTやfield-in-field法による線量分布向上,従来の3Gy×10回よりも線量を落とした照射法など,照射技術上の工夫に伴って,今後変遷していく可能性があります。
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