側枝の静脈瘤に対する手術に術者の工夫が発揮される
低濃度大量局所浸潤麻酔(tumescent local anesthesia:TLA)下で専用のフックを用いることで瘤切除が進歩した
泡状硬化剤が一般的になり,細い静脈瘤に対する治療効果が高まった
不全穿通枝に対する内視鏡下治療も行われている
高周波焼灼装置,新しいレーザー(1470nm)の出現で,逆流のある伏在静脈の焼灼に関しては術式が飛躍的に進歩した。ほぼ確立された治療手技であるため治療成績は安定しているが,逆にそこに工夫の余地は少ない。一方,伏在静脈から連続する側枝の瘤や不全穿通枝に対しては瘤切除や硬化療法が推奨されており1)〜3),それぞれの症例でどのようなアプローチをするかは,術者によって工夫の余地が多く,手術の是非を左右することがある。
現在,φ5mm以上の側枝の静脈瘤に対して多くの施設で取り入れられているのは,小さい切開創から瘤を切除するstab avulsion法と呼ばれる術式である。適切な瘤切除は美容的に優れ,患者の満足度を高めるので,好んで行われている。本稿では,その手技の実際について述べる。また,それより小さめのφ4mm以下の瘤に対しては,硬化療法が有用である4)。泡状(Foam)硬化剤の効果が高いとされているので,その手技についても言及する。不全穿通枝に対しては,SEPS(subfascial endoscopic perforator surgery),PAPs(percutaneous ablation of perforators)と呼ばれる内視鏡や血管内焼灼術を応用した手技が行われている。
2~3mmの小切開創から瘤を切除する方法で,専用のフックを用いることが多いので,その具体的な方法について述べる。
まず,術前に立位または坐位でマーキングを行う。瘤のマーキングがないと手術中に切除すべき瘤を判断するのは困難である。5mm程度以上の瘤に対して,皮膚と瘤が近い部位にあらかじめ点状のマークを付けている。1箇所から3~5cmの切除ができるので,5cm程度ごとに切開部位を想定してマークを付ける。
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