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全身性強皮症(全身性硬化症)[私の治療]

No.5134 (2022年09月17日発行) P.44

桑名正隆 (日本医科大学大学院医学研究科アレルギー膠原病内科学分野教授)

登録日: 2022-09-17

最終更新日: 2022-09-14

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  • 皮膚,諸臓器の線維化とレイノー現象をはじめとした循環障害を主徴とし,中年女性に好発する。臨床症状は多彩で,患者ごとに病変分布や重症度が大きく異なる。特に消化管,心臓,腎臓,肺病変は生活の質や生命予後を悪化させる。

    ▶診断のポイント

    初発症状としてレイノー現象,手指腫脹が多く,診断には専門医による身体診察を含めた総合的な判断が不可欠である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    線維化や血管病変が完成すると可逆性に乏しいため,早期診断・治療が重要である。経過中の最大の皮膚硬化範囲が肘・膝を超えて近位まで広がるびまん皮膚硬化型(dcSSc)と,遠位にとどまる限局皮膚硬化型(lcSSc)にわける。これら病型で臨床経過は異なり,dcSScでは発症後5年以内に皮膚,内臓病変ともに進行するのに対し,lcSScは経過を通じて進行は緩徐である。さらに,自己抗体や罹病期間,各臓器病変の重症度と進行予測を勘案して個別化医療を実践する。

    治療は疾患の進行を抑制する疾患修飾療法と対症療法にわけられる。現時点の疾患修飾療法の主な対象は,発症5年以内の早期dcSScと線維進行性間質性肺疾患である。なお,他の膠原病と異なりステロイドの有用性を示すエビデンスはなく,早期dcSScに使用すると腎クリーゼのリスクを上げる。

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