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脳腫瘍に対する小開頭内視鏡手術の適応について

No.5138 (2022年10月15日発行) P.57

阿久津博義 (獨協医科大学医学部脳神経外科学主任教授)

後藤剛夫 (大阪公立大学大学院医学研究科脳神経外科学 教授)

登録日: 2022-10-14

最終更新日: 2022-10-11

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  • 最近は脳腫瘍に対する小開頭内視鏡手術(キーホールサージェリー)が国内でも徐々に行われるようになってきていますが,症例選択や手術における注意点についてご教示下さい。
    大阪公立大学・後藤剛夫先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    阿久津博義 獨協医科大学医学部脳神経外科学主任教授


    【回答】

     【内視鏡カメラの手前に安全な手術空間が確保できる症例が小開頭内視鏡手術の良い適応と考える】

    深部脳腫瘍に対して,少しずつ小開頭内視鏡手術が行われる機会が増えています。この手術を安全に行うための手術適応について,現在の私たちの考え方をご説明します。

    まず,小開頭内視鏡手術を行う上で,内視鏡手術の利点,欠点をよく理解することが大切です。内視鏡は深部でも明るい広角な術野を提供できることが最大の利点です。一方,内視鏡のカメラの手前の術野は内視鏡自身では観察できません。この部分が死角となることが最大の欠点です。

    経鼻内視鏡手術でたとえると,腫瘍摘出を行っている際には手前の鼻腔は観察できずに手術を行っていることになります。しかし,鼻腔は構造が単純で,また牽引操作が加わっても危険な構造がないため,安全な手術が可能となります。私たちは小開頭内視鏡手術においてもこの考えをもとに手術適応を考えています。たとえば,眉毛上切開による前頭小開頭内視鏡手術では,前頭蓋底が内視鏡カメラの手前の空間となります。前頭蓋底は綿片で前頭葉を軽く牽引すると,重要な構造に乏しく安全な空間を容易につくることができます。このため,その先にある傍鞍部腫瘍を明るく広い術野で摘出可能となります。

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