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尿路上皮癌の光力学的診断(PDD)【NBIやPDDは有用であり,PDDは内視鏡手術の成績改善への寄与が実証されている】

No.4820 (2016年09月10日発行) P.56

松山豪泰 (山口大学大学院医学系研究科泌尿器科学分野教授)

井上啓史 (高知大学医学部泌尿器科学教授)

登録日: 2016-10-12

最終更新日: 2016-10-19

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  • 最近,膀胱上皮内癌の診断に光力学的診断(photodynamic diagnosis:PDD)が有用であるとの報告を目にするようになりました。また狭帯域光観察(narrow band imaging:NBI)による通常光膀胱鏡でも診断率を向上させられるとの報告もあり,どちらを選択すればよいか迷っています。
    両診断法の優劣や,PDDを行う場合に使用する薬剤や機器について,高知大学・井上啓史先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    松山豪泰 山口大学大学院医学系研究科泌尿器科学分野 教授


    【回答】

    膀胱上皮内癌は粘膜内の平坦癌で,隆起癌に付随して広がる場合や単独発生する場合があります。いずれも高悪性度で,内視鏡的に同定不可能であり,予後不良です。近年,この臨床課題を改善すべく新たな内視鏡診断法が開発されました。

    (1)NBI
    ヘモグロビンに高吸収性の狭帯域化された2波長の光を用いて血管のコントラストを高め,正常粘膜と癌の違いを光学的に強調表示するNBIが開発されました1)。緑色光(530~550nm)で深部の血管は青色に,青色光(390~445nm)で粘膜表層の毛細血管は茶色に,強調表示されます1)

    NBIの機器はOLYMPUS社製VISERA ELITEシステムで,通常光とNBIの観察切り替えが即時に可能です2)

    NBIは主に消化器癌で有用性が示されています。膀胱癌では診断の有用性は示されていますが2),内視鏡手術での再発予後の成績は,進行中の無作為国際臨床試験の結果が待たれます3)

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