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網膜静脈閉塞症[私の治療]

No.5141 (2022年11月05日発行) P.43

西口康二 (名古屋大学大学院医学系研究科眼科学教授)

冨田 遼 (名古屋大学医学部附属病院眼科)

登録日: 2022-11-05

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  • 網膜静脈閉塞症(retinal vein occlusion:RVO)は糖尿病網膜症についで多い網膜血管疾患であり,わが国の40歳以上の成人における有病率は2%程度とされている。
    発症範囲により網膜中心静脈閉塞症(central retinal vein occlusion:CRVO)と,網膜静脈分枝閉塞症(branch retinal vein occlusion:BRVO)に大別される。

    ▶診断のポイント

    多くの場合,特徴的な網膜出血の所見から診断は容易である。素因として高齢,喫煙,高血圧,糖尿病,脂質異常症,骨髄増殖性疾患,凝固能亢進状態,腎疾患,緑内障等が挙げられる。続発する黄斑浮腫はRVOにおける視力低下の主な原因であり,現在では網膜光断層計検査により診断される場合が多い。網膜虚血による血管新生のため硝子体出血や血管新生緑内障を生じると,硝子体手術や緑内障手術を要する場合がある。

    CRVOにおいては,特に虚血型と非虚血型に区別される。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    病歴や通院歴を聴取し,血圧測定や採血検査などを適宜行う。必要に応じて高血圧や糖尿病などの全身疾患評価・管理のため,内科医へのコンサルテーションを行う。

    【黄斑浮腫に対する加療】

    現在の第一選択は抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)阻害薬の硝子体内投与であり,投与により黄斑浮腫の改善がみられる場合が多い。投与後,数カ月程度で黄斑浮腫の再燃を生じ,繰り返しの投与が必要となる場合がある。患者側にとって医療費や通院が負担となる可能性があり,あらかじめ加療開始前に十分な説明が必要である。

    抗VEGF阻害薬の投与プロトコルは施設により異なるのが現状である。CRVOに伴う黄斑浮腫では,導入時に3カ月連続投与を行った後,必要に応じて(pro re nata:PRN)投与する「3+PRN」投与を行う施設が多く,筆者の施設でも採用している。BRVOに伴う黄斑浮腫は4カ月の経過で20%ほどの症例が自然軽快するとされており,初回の投与以後の追加治療が不要となる場合もしばしばみられる。過剰投与を避けるためにも,筆者の施設では初回投与後から必要時投与を行う「1+PRN」投与としている。

    黄斑浮腫に対して抗VEGF阻害薬投与に併せて行われる格子状網膜光凝固は,既報において抗VEGF阻害薬投与の単独療法と比較して有効性を示しておらず,筆者の施設では行っていない。ただし,限局的な浮腫がある領域に明らかに浮腫の原因となる血管瘤が存在し,かつ抗VEGF阻害薬への反応が不良な症例には血管瘤の直接凝固を行う場合がある。

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