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高HDL-コレステロール血症:診療のポイント[学術論文]

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  • 4. 血清HDL-コレステロールレベルと病態

    表1にHDL-コレステロール値と種々の病態について示す。表中の青字は日常診療において遭遇しうるcommonな病態を示す。本稿のテーマである著明な高HDL-コレステロール血症をきたす要因としては,CETP欠損症と慢性大量飲酒で頻度が高い。慢性大量飲酒による血清HDL-コレステロール値増加のメカニズムのひとつとして,筆者らはCETPの活性が低下することを報告している7)

    5. CETP欠損症の病態解析

    CETP欠損症は1980年代にわが国において発見された9)~12)。常染色体優性(顕性)遺伝形式をとるリポ蛋白代謝異常症である。ホモ接合体では血清HDL-コレステロール値が120~250mg/dL,ヘテロ接合体では60~150mg/dL程度を呈する。わが国で認められる高HDL-コレステロール血症の半数以上はCETP欠損症であると考えられる13)

    図3 14)に明らかな動脈硬化を呈した高HDL-コレステロール血症の症例,図4 15)にCETP欠損症の集積地域における住民健診の結果を示す。血清HDL-コレステロール値と虚血性心電図変化との間には,U字型の関係が存在していた。

    CETP欠損症のHDL粒子は,著しく大粒子化する(図5) 13)とともに,アポリポ蛋白組成も変化し16),コレステロール引き抜き等,機能にも異常をきたす17)


    CETP欠損症が存在しない欧米において,動脈硬化治療の目的でCETP阻害薬の開発が進められたが,臨床試験の結果は好ましくなく,開発は中止されている18)

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