厚生労働省は12月9日の「第8次医療計画等に関する検討会」で、医療計画の6事業目となる新興感染症対応について、医療計画策定にあたっての基本的な考え方や記載内容などの案を提示した。検討会は年内に医療計画作成指針などの見直し内容を盛り込んだ意見書をまとめるが、新興感染症対応はこれと切り離して議論を継続。感染症法に基づく「予防計画」の見直しを検討する厚生科学審議会感染症部会と連携を図りながら、都道府県が2023年度中に行う次期医療計画と予防計画の策定作業に間に合わせるべく、できる限り早期の取りまとめを目指す方針だ。
同日付で公布された改正感染症法は、▶都道府県と医療機関等の間で事前に病床、発熱外来、自宅療養者等への医療の確保などに関する協定を締結する仕組みを法定化、▶公立・公的医療機関等に感染症発生・まん延時に担うべき医療の提供を義務化、▶初動対応を行う協定締結医療機関に診療報酬の上乗せや補助金が充実するまでの一定期間に限り財政支援を実施(流行初期医療確保措置)-などが柱となっている。
これを踏まえ厚労省は、医療計画と予防計画の関係を、▶医療計画は感染症医療提供体制の確保と通常医療提供体制の維持について記載、▶予防計画は感染症医療提供体制、検査・保健体制の確保等について記載―と整理。想定する感染症は、感染症法に定める新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症を基本とするが、次期計画は現に対応している新型コロナを念頭に策定する考えを示した。
医療計画の記載事項は、平時と感染症発生・まん延時に分けて基本的取組を記載することを提案。平時の取組では、「都道府県と医療機関との協定締結による対応可能な医療機関・病床等の確保」や「感染状況のフェーズに応じた病床の必要数や人材派遣の可能人数の設定などの準備体制構築」などを、感染症発生・まん延時の取組では「協定締結医療機関・流行初期確保措置付き協定締結医療機関における協定の履行」や「感染状況のフェーズに応じた準備体制の迅速かつ確実な稼働」などを具体例として挙げた。
また、▶病床数、▶発熱外来の医療機関数、▶自宅療養者等への医療を提供する医療機関数、▶後方支援を担う医療機関数、▶医療人材の派遣可能人数―などについて、数値目標の設定を求める案も示した。