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肺線維症の治療  【ピルフェニドン,ニンテダニブによる急性増悪の抑制効果が認められている】

No.4825 (2016年10月15日発行) P.50

巽 浩一郎 (千葉大学呼吸器内科教授)

登録日: 2016-10-14

最終更新日: 2016-10-14

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特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)はステロイド治療が奏効せず,予後不良の病態である。わが国では,2008年にピルフェニドン,15年にPDGF受容体,FGF受容体,VEGF受容体を標的とするチロシンキナーゼ阻害薬であるニンテダニブで肺の線維化抑制,呼吸機能の悪化抑制が認められ(INPULSIS-1,2)1),保険適用されている。

INPULSIS-1,2試験1)は,日本人126例を含む1066例のIPF症例を対象としている。エントリー基準は「%FVC≧50%」であり,わが国ではピルフェニドンの併用も認められていた。IPF患者の予後規定因子は,①急性増悪,②肺癌合併,③呼吸機能低下(呼吸不全),である。日本人を対象とした胸部CTを使用したサブ解析では,ニンテダニブは急性増悪を抑制していた。ピルフェニドン,ニンテダニブはともに急性増悪を抑制し,生命予後の改善に寄与しうる。

また,非小細胞肺癌の二次治療として,ドセタキセル/ニンテダニブの有用性が海外,わが国で報告されている(LUME Lung 1試験)。これですぐにニンテダニブが肺癌発症を抑制しうるとは言えないが,今後の可能性を待ちたい。さらに,強皮症合併間質性肺炎において,ピルフェニドンが呼吸機能を改善する可能性が示されている(Lotus試験)。抗線維化薬として上市された薬剤が,さらなる臨床効果をもたらす可能性を秘めている。

【文献】

1) Richeldi L, et al:N Engl J Med. 2014;370(22): 2071-82.

【解説】

巽 浩一郎 千葉大学呼吸器内科教授

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