【質問者】福本真也 大阪公立大学大学院医学研究科 先端予防医療学准教授
【サルコペニア・フレイル合併CKDではリスクを勘案した上でのたんぱく質制限緩和も考慮する】
近年,CKDの領域においてもナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT)2阻害薬やミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA),グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬などの腎保護効果が期待される薬剤が使用可能になっています。一方,そのような薬剤の使用が進むほど,CKD診療における栄養管理の重要性が増してくると考えられます。すなわち,肥満や,やせ・消耗をきたすような食事を摂取していると,上述の薬剤における腎保護効果を相殺してしまう可能性があるからです。よって,CKD診療においてはこれまで以上に多くの栄養指導が必要であると考えられます。
日本腎臓学会は「CKD診療ガイドライン2018」において,これまでの国内外のエビデンスから,CKDの進行を抑制するためにたんぱく質摂取量を制限することを推奨しています1)。しかし最近,高齢CKD患者を念頭に置いた「サルコペニア・フレイルを合併した保存期CKDの食事療法の提言」が報告されました。そして,サルコペニア・フレイルを合併したCKDでは,そのアウトカムである末期腎不全および死亡・心血管死の絶対リスクなどを総合的に評価し,末期腎不全のリスクが低い(サルコペニア・フレイルの治療を優先する)症例において,運動療法とともにたんぱく質制限を緩和してもよいと考えられることが述べられています2)。患者の状態をよく把握し,管理栄養士による栄養指導を行った後にもモニタリングを行いながら管理することが重要です。
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