創傷治癒の過程で,何らかの原因で炎症が持続することにより,膠原線維の過剰増生を生じた状態を言う。
一般的に,ケロイドは創の範囲を超えて広がり続ける異常瘢痕であり,肥厚性瘢痕は創の範囲を超えず垂直方向にのみ増殖する瘢痕であると言われている1) (図)。
ケロイド,肥厚性瘢痕を生じる原因として,①細菌感染や異物反応,反復性の外的刺激,②尋常性痤瘡などの皮膚の炎症性疾患,③張力(皮膚にかかる緊張),などが挙げられる。この中で③が最も大きな要因であることがわかっている。
ケロイドと肥厚性瘢痕では治療に対する反応性が異なることに留意する。基本的にはステロイド外用または局所注射,圧迫療法,シリコンジェルシートでの固定などの保存的治療を第一に考える。
2015年に公開された診療ガイドライン2)においては,病変部切除後の放射線(電子線)治療,ステロイド局注療法が高い治療効果を期待できる手段として位置づけられており,レーザー照射,凍結療法などは根拠に乏しいとされている。
予防および治療後の再発抑制に対しては,トラニラスト内服が有効である。
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