結膜下出血は,ドライアイ,結膜弛緩症,眼球打撲症,高血圧などによる血管老化,抗凝固薬の内服など,多彩な疾患,病態により発症しうる1)~3)。痛みなどの症状はないが,見た目で重篤な病気ではないかと思い,外来受診することがある。ドライアイ治療や結膜弛緩症に対する治療により,結膜下出血の再発を減らすことができる。
発症年齢:50歳から急激に増加し,60歳代をピークに減少する1)3)。結膜下出血の原因を大まかにわけると,①高血圧,糖尿病,脂質異常症などの全身疾患,②抗凝固薬の内服,③外傷,④コンタクトレンズ障害,⑤急性出血性結膜炎,⑥ドライアイや結膜弛緩症,などに大別できる1)。原因別の発症年齢は,外傷によるものは若年者に多く,高血圧,糖尿病,脂質異常症,抗凝固薬内服などの全身疾患に起因するものは高齢者に多い。
発症部位:どの部位にも生じうるが,やや下方と耳側に多い傾向がある。結膜弛緩症とドライアイを合併している症例は,結膜の皺の部分での摩擦により出血が起こる可能性が高い。
一般的に無症状のことが多いが,ドライアイや結膜弛緩症を合併している場合には,眼の乾燥感や眼精疲労の症状を訴える。また,結膜下出血が再発する患者では結膜弛緩症の重症度が高く,車の運転,読書,編み物など,眼を酷使する作業を行っていることが多い。おそらくは,集中することにより瞬目が減り,ドライアイ症状が強くなっていることも関係している。
結膜下出血にみられるドライアイや結膜弛緩症は,瞬目時の眼瞼結膜と角膜との間の摩擦や,涙液層の安定性を低下させる。したがって,結膜下出血の検査としては,ドライアイ検査と結膜弛緩症の有無や重症度の判定を行う。ドライアイ検査としては,涙液層破壊時間(tear film break-up time:BUT)検査やシルマー試験を行い,角膜や上皮障害の有無を確認するために,フルオレセイン,ローズベンガル,リサミングリーンなどによる角結膜染色を行う。
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