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■NEWS 【米国心臓病学会(ACC)】新型コロナ感染に伴う心血管系障害のリスク上昇幅とその種類は?―最新メタ解析

登録日: 2023-03-14

最終更新日: 2023-03-14

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わが国でもCOVID-19感染は収束に向かいつつある。そこで臨床家として気になるのが後遺症、いわゆる"Long COVID"だろう。わが国の単施設が実施した最新のアンケート調査では30.5%が感染回復1年後も何らかの異常を報告している[Morioka S, et al. 2023。またCOVID-19感染後遺症としては「疲労」や「Brain Fog」「味覚障害」などがよく知られているが、心血管系の不調も見逃せない[Raman B, et al. 2022。ではCOVID-19感染により心血管系障害リスクはどれほど上昇するのだろう? その点を明らかにすべく実施されたメタ解析が、34日から米国ニューオーリンズで開催された米国心臓病学会(ACC)学術集会で報告された。Joanna Lee氏(デイヴィッド・トヴィルディアーニ医科大学、米国)の報告を紹介する。なお同氏はまだ博士号未取得の医学部生だという。

解析対象となったのは、18歳以上を対象にCOVID-19感染後の症状として心血管系障害関連を報告している11報(5885453例)である。前向きコホート研究が7報、後方視的研究が3報、症例・対象研究が1報だった。報告例数は700万例から数十例までとバラツキは大きい。ただし非ランダム化研究の質指標であるニューカッスル・オタワ・スケールは、いずれの研究も「良」とされる「7点以上」だった。

対象患者の平均年齢は26.5歳から63歳と幅広く、重篤後遺症に限った1報告を除き中等度以下の症状も報告されていた。COVID-19感染からの観察期間は3カ月前後が最も多かった(最短「12カ月」、最長「11.6カ月」)。なおワクチン接種の有無、接種者の割合などは不明だという。

これら11報を変量効果モデルでメタ解析した結果、COVID-19感染後に何らかの心血管系障害が発生するオッズ比(OR)は非感染者に比べ、2.35の有意高値となった(95%信頼区間[CI]1.204.60)。ただしバラツキの指標であるI291%ときわめて高い。

次に感度分析として最も重み付けの大きかった報告(14.0%)を除外して再計算したが、やはりOR2.9895%CI1.038.62)の有意高値が維持された(I292%)。さらに2番目に重み付けの多かった1報(13.4%)を除外した感度分析でもORは有意高値で(OR2.5795CI1.743.80)、I251%となった。

心血管系障害の内訳を見ると、症状としては「胸痛」と「労作時呼吸困難」「疲労」「動悸」が多く、疾患名では「不整脈」「心不全」「血栓症」「心筋炎」、画像所見は「心臓MRLGE(心筋線維化指標)陽性」と「心エコー上GLS(左室機能指標)低下」が多かった。

これらのリスク因子は解析できなかったという。 

本解析について開示すべき利益相反はないとのことである。

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