【概要】消防庁は3月27日の「有床診療所火災対策検討部会」で、産科、眼科、耳鼻いんこう科、皮膚科、歯科を標榜する有床診のスプリンクラー設置義務を免除する案を提示した。
消防庁が新たに示したスプリンクラーの設置基準案では、(1)入院が常態化していない施設、(2)入院が常態化しているが職員による支援があれば入院患者が避難できると想定される施設―を除外するとしている。(1)については、有床診としての届出はされているが、1日当たりの入院患者数の年間平均が1人未満の入院実態のない施設を想定している。
(2)については標榜科で判断し、産婦人科を含む産科、皮膚科、眼科、耳鼻いんこう科、歯科の5科を想定。ただし、他科と併せて標榜している場合は、全科の入院患者が避難できない可能性を考慮して除外対象とはせず、同庁予防課課長は「かなり厳しい条件になっている」と話している。
●1000m2以上も水道連結型認める
現行の基準では、貯水槽やポンプの取り付けを要さない水道連結型スプリンクラーは水圧の低さから「延焼拡大効果が小さい」として、設置が認められる施設を延べ面積1000m2未満としている。しかし有床診では手術室などスプリンクラーヘッドの設置が免除されている部分が一定割合を占めることを踏まえ、それらの部分が延べ面積の過半を超えない範囲で施設基準の面積算定からの除外を認めることとした。これにより、1000m2以上の施設にも設置が容認される形となった。
ただし、設置に当たっては、昨年10月に福岡市の有床診で発生した火災の出火元が無人の処置室だったことから、▽除外部分とそれ以外の部分に準耐火構造の壁や床で防火区画を施す、▽開口部に防火戸を設置する、▽棟全体が1000m2未満ごとに防火区画されている─などを要件とする。
●中小病院の基準はまとまらず
この日の会合では、3000m2未満の中小病院への設置基準についても検討がなされたが、結論はまとまらず次回以降に持ち越しとなった。消防庁は「結論を得る時期は有床診と同時にしたい」としており、基準の最終決定は4月末以降となる見通しだ。