日本医療機能評価機構は4月17日に公表した「医療安全情報 No.197」で、離床センサーの電源入れ忘れによる事故事例を取り上げ、注意を促した。入院患者の処置やケアの実施後にセンサーの電源を入れ忘れたために患者がベッドを離れたことを感知できず、患者が転倒して骨折などの怪我を負ったケースもあった。こうした事例は2020年1月1日〜23年2月28日までの2年2カ月の間に26件報告されているという。
今回の医療安全情報では、2つの事故事例の詳細を紹介している。それによると、事例1では、看護師が患者のベッドの右側にマットセンサーを設置。この医療機関にはセンサー設置時にマットを踏んで作動確認するルールがあったが、この時は他の患者からナースコールがあったために看護師は作動確認をせずにその場を離れた。30分後に大きな音がして訪室すると、患者が仰向けに倒れており、マットセンサーの電源が入っていなかったことが発覚した。その後のCT検査でこの患者は第一腰椎圧迫骨折と診断された。
事例2では、作業療法士が患者を車椅子でリハビリテーション室に連れていく際にベッドセンサーの電源を切り、そのことをリーダー看護師に伝えたが、受け持ち看護師には伝わっていなかった。リハビリ後に患者が病室に戻った際、受け持ち看護師は患者がベッドに横になっていることは確認したが、ベッドセンサーに電源が入っていることの確認まではしなかった。その後、訪室した際にベッドサイドに倒れている患者を発見。その時になって初めてベッドセンサーの電源が入っていなかったことに気づいた。患者はX線検査の結果、肋骨骨折と診断された。
事例が発生した医療機関では再発防止策として、離床センサーを設置した際は作動を確認する、訪室時は離床センサーの電源が入っていることを確認するなどの取組を実施。機構は、これらを参考に自施設に合った取組を検討するよう呼びかけている。