No.5167 (2023年05月06日発行) P.58
中本達夫 (関西医科大学麻酔科学講座教授 (区域麻酔担当)/附属病院痛みセンター長)
石川慎一 (姫路赤十字病院麻酔科ペインクリニック部長)
登録日: 2023-05-09
最終更新日: 2023-05-01
【質問者】
中本達夫 関西医科大学麻酔科学講座教授 (区域麻酔担当)/附属病院痛みセンター長
【診断に椎間板の造影・ブロックが有用で,治療は機器・薬剤ともに低侵襲化している】
腰椎椎間板は髄核とそれを包む線維輪から成り,頭尾側方向に2つの腰(仙)椎に挟まれつつ脊椎の可動性を保つ役割をしています。腰下肢痛全体に対する椎間板性腰下肢痛は,椎間板性腰殿部痛が13%,椎間板ヘルニアによる腰下肢痛が7%と報告されています1)。椎間板性腰痛の主な原因は椎間板変性であり,加齢や就業による負荷,喫煙,肥満などによって促進され,洞脊椎神経からの知覚神経増生と椎間板内侵入がその機序と考えられています。
椎間板性腰痛の診断では,前屈や立ち上がるなどの椎間板内圧を上昇させる動作による症状の増強で強く疑います。また腰椎MRIでは,椎間板膨隆・変性・断裂,終板変化(Modic変性),high intensity zone(HIZ)が椎間板性腰痛を示す所見ですが,偽陽性が多いことに注意が必要です2)。最も有用な診断方法は,椎間板造影(による再現痛)と椎間板ブロック(局所麻酔薬による痛みの軽減)の確認です。
椎間板性腰下肢痛の原因は,椎間板ヘルニアの機械的および化学的刺激による神経根性の腰下肢痛が最多です。各種理学的所見と腰椎MRIで椎間板ヘルニアの膨隆や脱出による神経根や硬膜の圧迫について高位診断を行います。
残り745文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する