アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎(allergic fungal rhinosinusitis:AFRS)は,真菌に対するアレルギーにより発症する。鼻副鼻腔粘膜や鼻茸中に著明な好酸球の浸潤をきたす再発率の高い鼻副鼻腔炎である。慢性副鼻腔炎のエンドタイプではtype 2(またはtype 2を含む混合型)に分類される。片側性と両側性が存在する。難治性副鼻腔炎,好酸球性副鼻腔炎の合併を念頭に置く必要がある。
浸潤型鼻副鼻腔真菌症を除外し,鼻汁,鼻閉,嗅覚障害,後鼻漏などの症状が3カ月以上持続,中鼻道あるいは中鼻甲介の浮腫・ポリープの有無,CTまたはMRI所見,真菌に対するⅠ型アレルギーの証明(真菌特異的IgE値上昇もしくは皮内テスト陽性),アレルギー性ムチンが存在(真菌,好酸球の浸潤,Charcot-Leyden crystalsを確認)で病態を確認し,診断する。血清総IgE値上昇,末梢血好酸球数,副鼻腔粘膜・鼻茸の病理組織学的検査も参考とする。
気管支喘息,アレルギー性気管支肺真菌症,アレルギー鼻炎,アトピー性皮膚炎の既往,鼻副鼻腔炎手術の有無を確認する。
AFRSでは,慢性鼻副鼻腔炎の保存的治療を既に施行後で難治例が多く,内視鏡下鼻副鼻腔手術,ステロイド投与が有効で第一選択である。手術により真菌を含んだ好酸球性ムチン(抗原除去)とポリープを除去し鼻副鼻腔を開放する。術後は鼻副鼻腔処置,生理食塩水による洗浄を行う。病態に応じてステロイド経口投与,噴霧用ステロイド点鼻,抗ロイコトリエン薬の投与,第二世代抗ヒスタミン薬を使用する。ヘパリン加生理食塩水や抗真菌薬による局所洗浄を行う場合もある。
好酸球性鼻副鼻腔炎,難治性気管支喘息を合併する場合は,抗体製剤が有効である。アレルギー性気管支肺真菌症では抗真菌薬の投与も検討する。
真菌は風呂場やキッチンなど湿気が多い場所で発生するため,生乾きの衣類,布団やカーペット,洗濯機,エアコンなどから吸い込まないように掃除,換気,除湿の重要性も指導する。
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