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びまん性大細胞型B細胞リンパ腫[私の治療]

No.5175 (2023年07月01日発行) P.35

山本一仁 (愛知県がんセンター病院長)

登録日: 2023-07-01

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  • びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)は,月単位で進行する最も頻度の高い病型であり,全リンパ腫の40%ほどを占める。DLBCLは,病理形態学的特性(細胞形態,表面形質),生物学的特性,臨床病態,治療反応,予後において多彩である。診断は病変部位の生検により確定するが,病変はリンパ節のみならず,節外にも発生する。標準治療であるR-CHOP(リツキシマブ,シクロホスファミド,ドキソルビシン,ビンクリスチン,プレドニゾロン)療法により70%ほどの長期生存が得られている。再発すると予後は不良である。

    ▶診断のポイント

    診断は病変部位(腫大リンパ節または節外の腫瘤)の生検により確定する。病理診断は,WHO分類に基づいて行われる。診断には,免疫染色を含めた病理組織学的検査に加えて,フローサイトメトリーによる表面マーカー検索,遺伝子検査などを行うことが必要である。したがって,採取した生検材料は通常のホルマリン固定のみならず,生標本として処理することが必須である。これらの検索を行うためには,十分な生検材料を得る必要があり,少なくとも初発時には切開生検を行うことが望ましい。治療方針を決定する上で病理診断が最も重要であり,可能な限り血液病理医による診断が望まれる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    治療方針の決定には,病理診断に加えて,病期診断,合併症の評価,リスク群の把握が必須である。身体所見,血液・生化学検査,全身CT(頸部~鼠径部),骨髄穿刺/生検,上部消化管内視鏡検査,全身FDG-PET(/CT)により病期を決定する。必要に応じて,MRIや下部消化管検査を実施する。合併症の評価として,心電図,心エコー,血液ガス分析・血中酸素飽和度,肝炎ウイルス検査などの臓器機能検査を行う。全身状態の指標であるperformance status(PS)の把握は重要である。リスク因子については,国際予後指標(international prognostic index:IPI)に基づき,年齢(61歳以上),血清LDH(正常上限を超える),PS(2以上),病期(Ⅲ,Ⅳ期),節外病変数(2個以上),の5因子中の予後不良因子の個数により,low risk(0~1個),low-intermediate risk(2個),high-intermediate risk(3個),high risk(4~5個),の4つのリスク群に分類する。

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