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【識者の眼】「産婦人科領域における遠隔健康医療相談活用事例⑥─オンライン処方での困りごと」重見大介

No.5176 (2023年07月08日発行) P.64

重見大介 (株式会社Kids Public、産婦人科オンライン代表)

登録日: 2023-06-28

最終更新日: 2023-06-28

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筆者が2018年より開始した産婦人科領域における遠隔健康医療相談サービス1)から、活用事例シリーズの第6回目として、今回は「オンライン処方での困りごと」について紹介したいと思います。

日本ではコロナ禍を契機にオンライン診療ができる環境整備が進み、2021年4月時点で「電話・オンライン診療に対応する医療機関」の割合は全体の15%ほど(初診から実施可能な医療機関は全体の6.5%ほど)となっています2)。ところが、「実際に初診から電話・オンライン診療を実施した医療機関」の割合は全体の1%未満です2)。実際の活用が増えない背景として、「基本的に受診がフリーアクセスである」「患者・医師双方がオンライン診療に抵抗を持っている」「保険点数のインセンティブが小さい」「オンライン診療で可能な診察や検査が限られている」などが考えられます。

そのような中で、「自費診療」はオンライン診療の活用が進んだ分野の1つであり、産婦人科領域では「低用量ピル」のオンライン処方が急増しました。なお、これは主にベンチャー企業が主体となって広がったと考えられます。オンライン診療によって自宅で低用量ピルの処方が受けられることは、例えば仕事で忙しい若い世代の女性にとっては非常に便利ですし、住んでいる地域に婦人科クリニックがほとんどないような場合には継続処方をしてもらう良い手段となります。

しかし、デメリットも存在していることを実感しています。筆者が運営している遠隔健康医療相談サービスには、オンラインで低用量ピルを処方してもらっている女性からの相談も寄せられます。内容は「初診からずっとオンラインで処方されているため、婦人科検診を受けたことがなく、不正出血があって心配です」「処方時にあまり詳しく説明をされずにピルを飲んでおり、SNSで見かけて血栓症がとても怖くなりましたが、大丈夫でしょうか」など、「かかりつけ医がいない」状況に起因するものが中心です。

これからの社会において、日本でもオンライン診療の普及は不可避と考えますが、過渡期にこそ適切な仕組み作りが求められますし、かかりつけ医がいない状況で不安を抱える女性たちの相談先が必要とされています。

【文献】

1)株式会社Kids Public:産婦人科オンライン.
 https://obstetrics.jp/

2)総務省:令和3年版 情報通信白書. 第1部第2節(2)データで見るオンライン診療の状況.
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd122320.html

重見大介(株式会社Kids Public、産婦人科オンライン代表)[オンライン診療][かかりつけ医]

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