田村憲久厚生労働相は9日の衆院厚生労働委員会で、医療事故調査制度で作成された報告書の訴訟使用について「排除できない」との見解を示した。これは結いの党の井坂信彦議員の質問に答えたもの。
今国会に提出されている医療・介護総合確保推進法案には、医療事故の原因究明と再発防止をはかる「医療事故調査制度」の創設が盛り込まれている。
調査の対象は全国の医療機関、助産所で発生した医療事故(当該施設に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、または起因すると疑われる死亡・死産で、当該管理者が予期しなかったもの)。
該当事例が発生した際に医療機関は院内調査の結果を遺族に説明し、後に新設される予定の第三者機関に報告することとなる。第三者機関への届出の判断基準などの詳細は厚労省がガイドラインで示す予定。
田村厚労相は「医療事故調査制度は責任追及と紛争解決が目的ではないので調査結果が警察や行政に届くことはない」と強調する一方で、「遺族が裁判で訴えることや、その際の参考資料として(調査報告書を)使用することを排除はできないので、そこに配慮して報告書をつくることになるし、その趣旨をもとにガイドラインの中で(報告書のあり方を)決めたい」と答弁した。