全身諸臓器に非乾酪壊死性肉芽腫を生じるサルコイドーシスの臓器病変のひとつであり,眼内の様々な組織に生じた炎症性肉芽腫により,透明組織の混濁,網脈絡膜や視神経乳頭の炎症や浮腫,眼房水流出路の閉塞による眼圧上昇など,様々な病態を呈する。
サルコイドーシスを強く示唆する眼病変として,①肉芽腫性前部ぶどう膜炎(豚脂様角膜後面沈着物,虹彩結節),②隅角結節またはテント状周辺虹彩前癒着,③塊状(雪玉状,数珠状)硝子体混濁,④網膜静脈周囲炎,血管周囲結節,⑤多発するろう様網脈絡膜滲出斑または萎縮病巣,⑥視神経乳頭,脈絡膜肉芽腫,などを検索し,このうち2つ以上の所見を満たしたものをサルコイドーシスの眼病変を強く示唆する臨床所見とする。これらの眼所見の有無をもれなく検索するためには,細隙灯顕微鏡検査,眼底検査に加え,隅角検査,可能であれば蛍光眼底造影検査など,様々な検査手段を用いる必要がある。
これらに加えて,全身いずれかの臓器における生検により非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫が検出されるか(組織診断群),呼吸器,心臓いずれかでサルコイドーシスを強く示唆する臨床所見を認め,全身検査でサルコイドーシスに特徴的な検査所見を満たす場合(臨床診断群)に,眼サルコイドーシスと診断される1)。
局所治療を第一選択と考え,前眼部炎症に対しては消炎目的のステロイドおよび瞳孔管理目的の散瞳薬の点眼治療を,後眼部炎症に対してはステロイドの局所注射を行う。これらが効果不十分,またはステロイドレスポンダーによる眼圧上昇などによりステロイド投与が困難な場合,あるいは不可逆的な視機能低下の恐れがある重篤な眼内炎症に対しては,ステロイドの内服に加え,メトトレキサートなどの免疫抑制薬,さらにはTNF阻害薬であるアダリムマブの導入を検討する。
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