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特集:喘息治療ステップダウンのポイント

No.5177 (2023年07月15日発行) P.18

玉田 勉 (東北大学大学院医学系研究科呼吸器内科学分野准教授)

登録日: 2023-07-14

最終更新日: 2023-07-13

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1994年東北大学医学部卒業,2000年から2年間米国留学などを経て,20年5月より現職。日本呼吸器学会専門医,日本アレルギー学会専門医など。JGL2021作成委員などを務める。

1 喘息の治療目標と段階的治療アプローチ
・国内外の喘息ガイドラインでは,主に患者症状に基づいた段階的治療アプローチが提唱されている。
・「コントロール良好」な状態が得られるまで副作用がない範囲で治療を強化し,喘息症状がなく日常生活に制限がない状態を実現することで,将来のリスク回避も可能となる。
・「コントロール良好」な状態が3〜6カ月間持続されていれば,呼吸機能やコントロール状態が低下しない範囲内で,徐々に治療のステップダウンを試みることができる。

2 中用量ICS/LABAによる治療導入例と再評価
・治療導入期として,中用量ICS(吸入ステロイド)/LABA(長時間作用性β2刺激薬)を1~4週間投与した後で,効果や副作用の有無などの評価を行う。
・効果が不十分な場合には,服薬アドヒアランス,吸入手技,増悪因子,併存症の影響も考慮する。

3 治療ステップダウンの意義
・ステップダウンの目的は,最小限の薬剤で有効な治療法を患者ごとに見出すことである。
・これにより,症状や増悪を良好にコントロールしつつ,治療費や副作用の可能性を最小化することが可能となる。

4 各ガイドラインにおけるステップダウンに関するエビデンス
・現在の喘息コントロール状態や呼吸機能を評価し,増悪のリスクが存在する場合には,綿密な観察なしにステップダウンすべきではないとされている。
・呼吸器感染や長期の旅行は増悪のリスクとなり,また妊娠もリスクとなるので,そのような時期を避けることを勧めている。

5 妊娠期におけるICS量調整の影響
・現時点で,妊娠期のステップダウンを推奨するエビデンスは乏しいため,慎重にすべきと考えられるが,今後さらなる検討が必要である。

6 日本と海外でのステップダウンの相違点
・米国臨床医向けに特化したステップダウンの方法に関する詳細な提言があるが,日本で承認されていない治療法であるas-needed budesonide-formoterol療法が含まれている。

7 ステップダウンの障壁
・実臨床において,ステップダウンを提案しても躊躇する患者も多い。
・その理由として,患者側の要因,医療提供者側の要因など知られている。

8 臨床的寛解とステップダウン
・寛解を維持するために必要な治療薬には,副作用が極力少なく,患者の長期予後に悪影響を及ぼさないもののみを含むという考え方が前提にあり,その点からはOCS(経口ステロイド)から離脱していることは最重要である。

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