厚生労働省は22日、感染症法で三種病原体に指定されている多剤耐性(MDR)結核菌のうち、新規抗結核薬で治療可能なものを四種に変更する案を厚生科学審議会結核部会に提示し、了承を受けた。
MDR結核治療薬の新薬「デラマニド」(大塚製薬)が近く承認の見通しであることを踏まえたもの。
感染症法では、結核治療の第一選択薬(一次抗結核薬)として用いるイソニアジドとリファンピシンに耐性を示すMDR結核菌を三種に指定している。三種病原体の所持・運搬に対し厚労相や公安委員会への届出を義務づけている。
同省は三種指定の範囲を、一次抗結核薬だけでなく二次抗結核薬(フルオロキノロン系製剤、カナマイシンなど)にも耐性を示す超多剤耐性(XDR)結核菌に限定し、新薬の有効性が期待されるMDR結核菌については所持・運搬にかかる規制が緩やかな四種に指定。医療機関から保健所等への検体の移動をしやすくすることで調査・研究上の利便性を高め、病原体サーベイランス体制の強化を図る。
部会ではこのほか、結核登録者票の記載事項に薬剤感受性試験の結果を加えることも了承された。
同省はデラマニドの承認後、感染症法上の基準改正に向けた審議を始める方針。